2008 Fiscal Year Annual Research Report
Alcadein代謝物β-Alcの生成機構とアルツハイマー病診断マーカーへの応用
Project/Area Number |
08J02153
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
羽田 沙緒里 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルツハイマー病 / Alcadein / バイオマーカー / γセクレターゼ |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)は認知症の大部分を占める神経疾患であるが、発症原因は未知な部分が多く、また確実な早期診断法、根本的な治療法は確立されていない。AD発症に関与すると考えられているAβは、APPから二段階の切断によって産生・分泌されるが、このAPPとアダプタータンパク質を介して複合体を形成する分子としてAlcadein(Alc)を単離・同定した。AlcはAlcα、Alcβ、Alcγというファミリー分子により構成されているおり、またAPPと同様に二段階の切断を受けることによりAβ様ペプチドであるβ-Alc(p3-Alcと改称した)を細胞外に分泌することが明らかとなっている。これまでに培養細胞を用いた実験よりp3-Alcα、p3-Alcβが生体内におけるAβ42/40の産生比率の変化を反映しうる分子としてADの早期診断マーカーとなる可能性があることを示してきた。 本年度、私はAlcγから分泌されるp3-Alcγの解析を行うためにまず抗体を作成し、これ用いて、培養細胞を用いたMALDI TOF/MS解析により、p3-Alcγの一次構造を決定、さらに、p3-Alcα、p3-Alcβと同様にPresenilinl変異体を発現した細胞において、C末の切断サイトの異なる分子種の産生比率が変化し、p3-AlcγもAβ42/40の産生比率の変化を反映しうることを示した。また、ヒト脳脊髄液においても、p3-Alcγが分泌されていることを明らかとした。 次に、ヒト生体内でのp3-Alcの切断様式を調べるために、AD患者の脳脊髄液中におけるp3-AlcαのMALDI TOF/MS解析をおこなった。その結果、AD患者においては、コントロール群や他の神経疾患患者とは異なったp3-Alcαの切断様式を示す傾向にあることを示し、AD患者ではγセクレターゼ機能異常があることを示唆した。
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Research Products
(4 results)