2009 Fiscal Year Annual Research Report
エンタングルメント純粋化に基づくフォールトトレラント量子計算
Project/Area Number |
08J02157
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 啓祐 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 量子情報処理 / デコヒーレンス / エンタングルメント純粋化 / フォールトトレラント量子計算 / 量子Zeno効果 / 光合成 |
Research Abstract |
昨年度から継続して、クラスターモデルに基づいたフォールトトレラント量子計算に関する研究を行った。具体的には、量子計算を行うクラスター状態を基本的な要素に分割することによって連接符号化されたクラスター状態を階層的に構成する方法を構築した。また、このフォールトトレラント量子計算用いた場合に許容しうる誤り確率のしきい値、必要となるリソースについて解析を行った。この結果、従来の方法に比べしきい値、リソースともに改善されることが明らかとなった。これは雑音があるもとでの量子コンピュータの実現において重要な意味を持つ。現在は、昨年度行ったエンタングルメント純粋化に関する研究成果をフォールトトレラント量子計算に応用する方法について研究を行っている。 また、実在する物理系を対象に簡単なモデルを構築し、デコヒーレンス(雑音)がいかに機能しているか解析を行った。具体的には、生物系(緑色硫黄菌の光合成系)におけるエネルギー輸送効率にデコヒーレンスがどのように影響するかを、量子物理学においてよく知られた現象である量子Zeno効果の観点から解析した。この結果、不規則性をもつ系に対して繰り返し測定を行うことによって、エネルギーのミスマッチのため生じるエネルギーの局在化を回避できることが明らかとなった。これは逆Zeno効果に対応する。このように、自然界におけるロバストな機構の理解を深めることによって、デコヒーレンスの制御や量子エレクトロニクスへの応用が可能になるのではないかと考えている。
|
Research Products
(4 results)