2008 Fiscal Year Annual Research Report
エンタングルメント純粋化に基づくフォールトトレラント量子計算
Project/Area Number |
08J02157
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 啓祐 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子情報処理 / デコヒーレンス / エンタングルメント純粋化 / フォールトトレラント量子計算 |
Research Abstract |
本年度は、局所演算に雑音がある状況におけるエンタングルメント純粋化の解析を行った。二重選別によるエンタングルメント純粋化法を提案し、従来の方法との比較を行った。また、局所演算に雑音がある状況におけるエンタングルメント純粋化を解析するために、遷移確率テンソルを導入し純粋化過程を記述する方法を構築した。この遷移確率テンソルを用いて、それぞれの純粋化過程によって達成可能な最大忠実度や、通信路に要求される最小忠実度、許容しうる局所演算の雑音の大きさを求めた。この結果、従来の純粋化法に比べ、より忠実度の低い通信路を用いても非常に高い忠実度が達成できることがわかった。また、局所演算における雑音に対しても従来の方法に比べ堅牢であることがわかった。さらに、純粋化効率に関しても、従来のものと同程度、もしくは、より効率が高いことがわかった。一般的に、局所演算に雑音がある状況におけるエンタングルメント純粋化について考察を行い、到達可能な忠実度の上限を求めた。提案した二重選別の方法と比較した結果、雑音が小さい領域において二重選別の方法はこの上限を満たしており、さらなる選別を行っても大きな改善が見込めないことを示した。実際の物理系では局所演算の雑音は無視することはできないため、量子中継などの量子通信の実現において二重選別によるエンタングルメント純粋化法は非常に有用であると思われる。これらの結果を論文にまとめ、現在Physical Review Aに投稿中である。また、量子計算においてもエンタングルメントは非常に重要な役割を果たしており、二重選別の機構をフォールトトレラント量子計算に応用する方法について現在研究を行っている。
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Research Products
(1 results)