2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02172
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
塚原 伸治 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 商家 / 老舗 / 語り / 近江八幡市 / 香取市 / 柳川市 / 商家経営の民俗学 |
Research Abstract |
1.研究の具体的内容 7月~8月の近江八幡市における長期滞在を中心に、フィールドワークを実施した。また、福岡県柳川市と千葉県香取市においても断続的に調査を行い、比較を進めた。また、同時並行して、次年度の研究のための基礎的な作業として、各地域において歴史資料の調査を行い、利用する史料の選定を行った。 2.研究の意義 研究の計画段階で仮定していた、「老舗の生成モデル」が、状況依存的かつ地域的な偏差を持つことが明らかになった。また、過程の段階では想定されていなかった、老舗をめぐる「語り」の地域差も明確になり、「老舗」の構築過程のより具体的な相を見いだすことが可能となった。また、業種や経営規模による差も明らかにすることができた。また、「伝統」が経営戦略としてかなり早い時期から客体的に活用されてきたことを明らかにした。 3.課題 「伝統」を積極的に選択的に扱う人びとの姿が明らかになった一方、その拘束力については明らかにすることができなかった。とくにここ20年ほどの構造不況下した商家経営において「伝統」が人びとの商行為をいかに拘束するのかという点に着目していくべきである。 また、研究方法論上の問題として、現状としては、現在を生きるインフォーマントの「語り」にデータが偏っているが、今後は、近代以降作成された種々の「長者番付」類の記載内容やその読まれ方等を含め、老舗や成功した経営者のあり方を近現代史にそった展開過程として考察する必要がある。また、研究の総括に向け、新たな老舗の生成モデルを提示するべく、隣接諸科学の研究成果の吸収および応用にも注力する必要がある。
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Research Products
(3 results)