2009 Fiscal Year Annual Research Report
白色矮星連星系の進化とスーパー軟X線天体の観測的研究
Project/Area Number |
08J02173
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
武井 大 Rikkyo University, 理学部, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | X線天文学 / 白色矮星 / 連星系 / 古典新星 |
Research Abstract |
本研究課題は、「古典新星」や「スーパー軟X線天体」など、白色矮星連星系から放射されるX線を詳細分光観測して、連星系の進化を解き明かそうというものである。宇宙にある天体の多くは連星系をなしており、これらは宇宙全体を解明するためにも重要な足がかりともなる。しかし、これらの多くは突発現象であるために特にX線での観測が難しく、本研究を成功させるにはいかにして貴重な観測データを得るかという点が重要であった。我々は本研究課題において独自の手法で取り組み、これら突発天体の観測データを効率良く得ることに成功している。我々は、昨年度に多くの成果を挙げたことから、アメリカ合衆国の「スウィフト」衛星を主体とする古典新星研究チームからも招待を受け、本年度はより一層協力して古典新星の観測に取り組んだ。結果、(1)昨年度に爆発を起こした「2008年はくちょう座第2新星」について「すざく」衛星で観測行い、爆発9日後に約70キロ電子ボルトというこれまでに類を見ない高いエネルギーまで放射されたX線スペクトルを得ることに成功した。観測された硬X線スペクトルは、過去の古典新星から考えられてきた高温プラズマからX線が放射される描像では説明する事ができず、古典新星からこれまで考えられていない新たなX線放射機構が存在する事を発見した。(2)「すざく」衛星を用いて、「2009年へびつかい座新星」と「さそり座U星」の2つの古典新星の観測に成功した。いずれも爆発初期の急激な増光の様子を見事にとらえ、貴重な観測データを得た。 これらの成果は、本年度も積極的に研究会や国際会議で発表したため、私が発足した古典新星研究チームは世界に広く認知される事となった。申請者自身も高く評価され、専門誌の査読、学会誌の解説記事、研究会での招待講演やレビュー講演、共同研究やセミナー等の依頼を数多く受けている。
|
Research Products
(15 results)