2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子機能プローブ導入による生体内臓器機能イメージングに関する研究
Project/Area Number |
08J02201
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
芳賀 早苗 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 生体イメージング / GFP / ルシフェリン / ルシフェラーゼ / 肝障害 / レドックス / アポトーシス / 細胞内シグナル |
Research Abstract |
本研究は肝の生理的・病的状態を維持・制御する分子をイメージングし、細胞内外シグナルを視覚的に捉えることを目的に研究を行った。 1.レドックス感受性(roGFP)プローブ GFPの変異体であるroGFPはレドックス感受性を持つ。このroGFPプローブを肝細胞株に導入したところ、細胞は酸化剤による酸化状態で黄色に、還元剤による還元状態で緑色にイメージングできた。次に、roGFPが生体において有用であるかを検討するため、マウスの虚血/再かん流実験を行った。roGFPを導入したマウス肝では、虚血後即座に還元状態(シグナル弱い;青色)を示し、再かん流後、酸化状態(シグナル強い;橙色〜赤色)に変化する様子を画像化することができた。 2.アポトーシスをイメージングするCaspase-3プローブ Caspase-3はアポトーシス誘導に深く関与する分子であり、これが活性化されるとルシフェリン/ルシフェラーゼシステムにより発光が起こるプローブを作成した。これを肝細胞株に導入し、アポトーシス誘導刺激を加えたところ、確かに細胞の発光が確認された。次に、Caspase-3プローブをマウス肝に導入して肝虚血/再かん流実験を行った。再かん流後、プローブの発光が確認され数時間後にピークを示した。 3."Akt"の肝再生における機能解析 新規分子機能プローブ開発のため、新たなターゲットの選択が必要となる。そこで生存シグナルとして知られているPI3-K/PDK1/Aktシグナルに注目した。肝特異的PDK1ノックアウトマウスをもちいて肝切除実験を行ったところ、肝再生は有意に抑制されていた。このとき、PDK1-Aktシグナルのみを通すことで、細胞サイズの増大により肝再生も回復した。肝再生においてAktは必須な分子であることが明らかとなった。 これら分子機能プローブは細胞・生体レベルで確かに機能し、レドックス状態およびアポトーシスの誘導を経時的・定量的にモニタリングするのに有効であった。今後は、これらプローブの詳細な検討および、新規プローブ開発に関する研究が必要である。
|
Research Products
(13 results)