2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子機能プローブ導入による生体内臓器機能イメージングに関する研究
Project/Area Number |
08J02201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
芳賀 早苗 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子機能イメージング / 肝再生 / 肝障害 / アポトーシス / 酸化ストレス / 細胞内シグナル |
Research Abstract |
本研究は分子機能プローブを生体レベルに応用し、肝再生・肝障害における分子機序の解明を目的として研究を行った。 1.肝障害モデルにおけるCaspase-3プローブの機能確認 アポトーシスを反映するCaspase-3プローブの機能性をマウス虚血/再灌流モデルにて確認した。再灌流後のシグナルは、虚血時間依存的な変化を示した。この結果は生化学的手法による結果と一致したため、本プローブは、肝障害モデルにおけるアポトーシスを経時的・定量的にイメージングするのに有効なツールであると確認できた。 2.加齢肝における肝再生障害のメカニズム解析 加齢肝は肝切除後、肝再生障害を示すが、この原因は増殖抑制というよりも、むしろ肝細胞傷害による可能性が強く示唆された。この原因としてp66shc分子の関与が示唆され、p66shcノックダウン加齢肝では肝再生の改善がみられた。そこで、レドックス感受性roGFPとCaspase-3プローブによって生体イメージングを試みた結果、加齢マウス肝では切除後顕著に肝の酸化ストレスとアポトーシスが検出されたが、p66shcノックダウン加齢肝ではそれを有意に抑制していた。 3.PI3-K/Akt経路の肝障害抑制効果の検討 この経路の代表的なリガンドであるHGFは、コラーゲンを元に作製された「コラーゲンビトリゲル」による肝の被覆によって局所的に投与され、肝虚血/再灌流後の肝障害を抑制した。生体イメージングの結果からも、ビトリゲル薄膜にて投与したHGFが、再灌流直後の酸化ストレスとそれに起因されたアポトーシスを抑制し、肝障害抑制にたいして有効的に働くことが明らかとなった。 本成果により、分子機能プローブによる生体イメージングは、肝障害・肝再生における分子機能の解析および障害抑制効果の評価に対して有用であり、将来的に病態の理解、診断、治療への可能性につながる意義深い研究である。
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Research Products
(6 results)