2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物における葉の中央周縁軸に沿った極性形成機構の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
08J02203
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中田 未友希 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中央周縁軸 / 周縁部 / PRS遺伝子 / WOX1遺伝子 / 向背軸 |
Research Abstract |
PRS遺伝子とWOX1遺伝子の発現を制御する機構を明らかにする第一歩として、これまでに明らかになっていないWOX1遺伝子の発現解析を行った。WOX1遺伝子のエンハンサートラップラインKE1895を用いて、葉の原基におけるWOX1遺伝子の発現パターンを調べた結果、PRS遺伝子の発現パターンの少なくとも一部と重なる領域でWOX1遺伝子が発現していることを明らかにした。これと並行して、WOX1遺伝子周辺のゲノム領域でprs wox1 2重突然変異体の表現型の回復に十分な領域を、相補性検定により同定した。同ゲノム領域に含まれるプロモーター領域を用いてWOX1発現マーカーWOX1p::GUSラインをすでに作製しており、現在解析のための形質転換体の選抜を行っている。 また、PRS・WOX1両遺伝子が中央周縁軸方向への成長にどのように関与しているのか明らかにする目的で、prs wox1の葉原基における細胞分裂活性を反映していると考えられているヒストンH4mRNAの発現をin situ hybridization法により検出し、野生型と比較した。解析の結果、野生型では周縁部でより高い活性が見られたのに対し、prs wox1では周縁部の細胞分裂活性が低下しており、中央部との細胞分裂活性の差が見られなくなることがわかった。この結果は、PRS遺伝子とWOX1遺伝子が葉原基の周縁部における細胞分裂の促進に関与していることを示唆している。 最後に、prs wox1において周縁領域の向背軸に依存した細胞分化に異常が見られることを明らかにした。さらに、背軸側特異的な発現を示すFIL遺伝子の発現がprs wox1では周縁部付近において向軸側(表側)に広がっていることも明らかにした。この結果は、PRS遺伝子とWOX1遺伝子が向背軸に沿った細胞分化に機能する遺伝子発現の極性の形成または維持にも関与していることを示しており、中央周縁軸と向背軸の関連を示唆する非常に興味深い結果である。
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Research Products
(4 results)