2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02205
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
山口 幸 Nara Women's University, 大学院・人間文化研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 性配分 / 資源分配 / フジツボ類 / 矮雄 / 性表現 / 体サイズの連続化 |
Research Abstract |
フジツボ類は、性転換を除く3つの性表現(同時的雌雄同体性、大型雌雄同体と矮雄、大型雌と矮雄)が見られる動物である(Darwin 1851)。Charnov(1982)はフジツボ類の性表現の決定には、繁殖集団サイズが重要な要因となっていると示唆している。また、繁殖集団サイズが比較的大きいと同時的雌雄同体性に、集団サイズがかなり小さくなると雌と矮雄になることが経験則として知られている。繁殖集団サイズと性表現との関連性を明らかにする資源分配モデルを作成した。体サイズを連続変数として扱い、いずれの体サイズの個体においても、精子生産・卵生産および成長への3つの資源分配が潜在的にできる可能性を持つとした。体サイズの連続化はこのモデルの大きな特徴であり、オリジナリティーが高いと考えている。なぜなら、既存の資源分配あるいは性配分のモデルは、計算の簡便化のため、体サイズを大小2段階にしているからである。各個体の繁殖成功を最大にするような最適資源分配を、動的計画法で計算した。繁殖集団サイズが1程度の場合、矮雄率は0.5に達したが、集団サイズが3程度になると、0になった。雄機能・雌機能および成長への資源分配は、3つ同時に起こることはないことがわかった。初期体サイズからスタートしたとき、始めは雄機能と成長のみに資源分配をおこなう。成長への資源分配割合が0になると、成長が止まり、臨界体サイズに達する。臨界体サイズに到達すると、雄機能と雌機能への分配になる。つまり成長への資源分配が0になった時点で卵生産が可能になる。このモデルから出てくる性表現は、雌雄同体性、雌雄同体と矮雄、雌と矮雄である。また、繁殖集団サイズと性表現は野外の経験則と一致しており、フジツボ類の性表現を一元的に説明できた。
|
Research Products
(3 results)