2009 Fiscal Year Annual Research Report
非コンパクトリーマン面上の平坦接続のモジュライ空間
Project/Area Number |
08J02206
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山川 大亮 Kyoto University, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中間畳み込み / 箙 / 不変式論 / 不確定特異点 |
Research Abstract |
前年度は乗法的中間畳み込みを点付き射影直線上のフィルター付き局所系に対する変換操作として拡張する試みを行い,また不確定特異点型線型常微分方程式系のナイーブなモジュライ空間を箙多様体のある種の一般化として記述する研究を行っていたが,後者の研究の延長として,今年度は加法的中間畳み込みに着目し,これを不確定特異点型線型常微分方程式系に対して拡張する試みを行い,成功した. 拡張の際用いた手法は,全く新しいものである.先ず,Dettweiler-Reiterによる中間畳み込みの初等的な記述を,Adams-Harnad-Hurtubise-Previatoによるスペクトル保存変形の研究を用いて再解釈した.これによって,中間畳み込みのより簡明な記述を得た. そして得られた記述を観察すると,拡張問題は自然に箙の表現論とその不変式論に関する基本的な問題に帰着された.こうして最終的に中間畳み込みの不確定特異点型線型常微分方程式系に対する拡張を得る事に成功し,更に元の中間畳み込みが持っていた基本的な性質が,拡張されても保持されている事が直ちに従った. 次の課題は,今回得られた拡張がモノドロミー保存変形の方程式を保つ事を示す問題であり,これが解決されれば,モノドロミー保存変形の方程式として得られる種々の重要な非線形微分方程式の理論に重要な応用が見いだされ,これによって可積分系の分野に大きく貢献する事ができると考えている.また,今回の研究で中間畳み込みとAdams達の研究との関連が初めて見いだされた事も意義深い事と思われる.
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Research Products
(4 results)