2008 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒球、単球、マスト細胞に発現する新規ペア型レセプターLMIR3/4の機能解析
Project/Area Number |
08J02213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊沢 久未 The University of Tokyo, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ペア型レセプター / LMIR / ITIM / ITAM / ITSM / マスト細胞 |
Research Abstract |
新規のペア型レセプターであるLMIR3の解析を通し、生体におけるペア型レセプターの役割を明らかにすることを目的とした。LMIR3はI型膜貫通蛋白で、細胞質内に5つチロシンを持つ(以後Y1〜Y5と略す)。そのうちY1とY3がITIM配列に、Y5がITSM配列に一致する。LMIR3の細胞質内のチロシンの役割を明らかにするために、様々なYFmutant(チロシンをフェニルアラニンに置換したコンストラクト)を用いた解析を行った。 1)LMIR3特異的抗体にて、マスト細胞のFcεRIのシグナルが抑制されることを始めて示した。このLMIR3の抑制作用には、ITIM(Y1,Y3)とITSM(Y5)の両方が重要であることを示した。 2)LMIR3はリン酸化したY1,Y3,Y5を介してSHP-1/SHP-2と、リン酸化したY2を介してp85αと会合すること、また、Grb2とも会合しうることを明らかにした。 3)LMIR3(Y1/3/5F),LMIR3(Ya11F)は活性化に働き、その活性化作用にはFcRγが必須であることを示した。また、LMIR3とFcRγが会合することを明らかにした。ITIMを細胞質内に持ち、抑制作用を示すレセプターがITAMを持つアダプター分子と会合し、活性化作用を示す報告は例がなく、新規の発見である。 4)LMIR3(WT)はLPS存在下で活性化に働くことが示された。この活性化作用に、FcRγとLMIR3細胞質内のチロシンの両方が寄与することを明らかにした。 以上より、LMIR3はマスト細胞において、FcεRIに対しては細胞内領域のITIMとITSMを介して抑制化シグナルを伝えるが、一方で、LPS存在下においては、ITAMを有するFcRγとの会合を介して活性化シグナルを伝達するという二重機能を持つことを始めて明らかにした。現在LMIR3ノックアウトマウスの解析を行っている。
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Research Products
(1 results)