2009 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒球、単球、マスト細胞に発現する新規ペア型レセプターLMIR3/4の機能解析
Project/Area Number |
08J02213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊沢 久未 The University of Tokyo, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ペア型レセプター / LMIR(Leukocyte mono-Ig-like receptor) / CLP(cecum ligation and puncture) / 自然免疫 / LPS |
Research Abstract |
(1)LMIR3ノックアウトマウスの解析 LMIR3ノックアウトマウスはSPF飼育下において形態や発達に異常を認めず、また、血球系細胞の分化や増殖にも明らかな異常を認めなかった。 LMIR3はミエロイド系細胞に発現していることから、自然免疫に関与している可能性があるため、敗血症性腹膜炎モデルであるCLP(cecal ligation and puncture)を施行した。その結果、B6、Balb/cいずれのバックグラウンドにおいてもLMIR3ノックアウトマウスにおいて顕著な生存率の改善が認められた。 CLPに対する生体防御には細菌のクリアランスが重要であるため、CLP後の腹腔内細菌数を検討した。CLP24時間後には、LMIR3ノックアウトマウスの菌数はWTと比較して、腹腔内のグラム陰性桿菌であるE.Coln、グラム陽性球菌であるE.faecalisともに約100分の1程度に低下していることが分かった。また、末梢血中細菌数もLMIR3ノックアウトマウスが平均で約30分の1程度に低下していた。この結果は、LMIR3ノックアウトマウスにおける生存率の改善と合致すると考えられた。 次に、虫垂局所の病理所見を確認したところ、WTでは4時間から24時間にかけて壊死が進行するが、LMIR3ノックアウトマウスは壊死の程度が軽く、同時に24時間後に虫垂壁への著明な好中球の集積を認めた。また、CLP4時間後に、腹腔中の好中球数を調べたところ、WTと比較してLMIR3ノックアウトマウスでは平均で約4倍の好中球の集積が認められた。これらの所見も、LMIR3ノックアウトマウスにおける生存率の改善と合致していると考えられる。CLP施行にて、LMIR3ノックアウトマウスは腹腔中の何らかのケモカインの産生が亢進し、早期に多くの好中球が腹腔や虫垂局所に遊走し、高い殺菌能を示すことおよび、それに伴い炎症が早期に改善して、生存率が上昇すると考えられる。 今後CLP以外の様々な実験を行ってく予定である。自然免疫関連ではLPS投与、E.Coliなどの生菌投与などにおいて差が認められるかを検討する。また、アレルギーや自己免疫疾患モデルなどを検討する。 (2)LMIR3リガンドの探索 現在、LMIR3の細胞外ドメインにhumanのFc部分をつけたキメラ蛋白を作成し、プローブとしてリガンドを捜すと同時に、レポーター細胞を用いた探索も行っている.
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Research Products
(3 results)