2008 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化によるAPPの軸索輸送と代謝制御機構の解析
Project/Area Number |
08J02215
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古郡 慶子 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルツハイマー病 / 神経軸索内輸送 / リン酸化 / APP / JIP1 / kinesin-1 |
Research Abstract |
アルツハイマー病発症分子機構の通過点としてAβの産生・蓄積が広く受け入れられているが、Aβの異常な産生に先立つ細胞内変化・病態機構については未だ不明である。本研究では、その一因である可能性が考えられているAPPの神経軸索内輸送の変動について、APPのJIP1を介したkinesin-1への結合とリン酸化による制御機構に着目し、研究を進めている。本年度は、APPのJIP1を介したkinesin-1による輸送のin vivoでの実体、およびAPPが他のカーゴでも運ばれている可能性を検証するため、野生型およびJIP1遺伝子欠損マウスの大脳皮質初代培養系へのAPP-GFP遺伝子導入によりAPPの軸索内輸送のライブイメージングを行った。その結果、JIP1遺伝子欠損型の方が野生型よりもAPPの順行性輸送の速度が遅く、輸送中に順行性輸送から逆行性輸送へと切り替わる小胞が多く観察された。これはマウス神経細胞由来の株化細胞(CAD細胞)の神経軸索様突起内においてsiRNAによるJIP1遺伝子発現のノックダウン法を用いても同様の現象が見られた。これらの結果は、APPは軸索内を他のカーゴを介しても輸送されるが、JIP1を介することにより効率の良い輸送が行われる可能性を初めて示す重要な知見である。また、生化学的解析により、KLCのC末のSer/Thrが複数サイトでリン酸化されることによりJIP1との結合が減少することを見出した。そこで来年度、JIP1遺伝子欠損マウスの初代培養神経細胞へのJIP1遺伝子導入による輸送速度の回復および同定したリン酸化部位に変異を入れたKLC遺伝子の導入効果を検証することにより、APPの効率的な輸送がJIP1を介し、それがリン酸化による制御を受けることを確証できると考えられる。
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Research Products
(1 results)