Research Abstract |
本研究では,切れ刃の先端形状が非常に細く加工されたダイヤモンド切削工具について,原子間力顕微鏡(AFM)方式の測定機を用いて,切れ刃形状の評価を行う.本年度は以下の成果を得た. ・超精密旋盤上でのダイヤモンド切削工具の機上形状測定が実現できるように構成してきた切削工具専用の測定装置を用い,いくつかの種類の工具の形状測定を行い,位置合わせ機構部分の方向の変更を行った.また,この形状測定においては,昨年まで機上測定装置で測ってきた工具に加えて,コーナ半径が2μm未満のダイヤモンド切削工具の形状測定実験を行った. ・測定結果の繰り返し性,特に測定の繰り返しと温度変化の関係を入念に調査した.その結果,測定装置に使った材質の温度変化による変形が測定評価に大きく影響を与えることが分かり,温度が安定するような工夫,または,その変形の補正が必要となることが分かった. ・位置合わせ用の光学系をそのまま用いて,そこからも形状の推定ができるようにする改良を行い,測定結果のシミュレーションをしつつ,コーナ半径がmmオーダの工具について,実際の形状を推定してみた.これを利用することで,先端の形状が円弧でない工具についてもAFMチップを位置合わせすることができるようになる.また,形状推定については,一部,市販のプロファイラを用いて比較測定を実施した. ・引き続き,切れ刃稜丸み半径の評価手法を改善した.これまで以上に,人為的な要素が入らない定量的な評価になるように改善し,自動計算ができるように評価方法の実装を目指し,ノイズの影響を考慮したシミュレーションを行った.
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