2008 Fiscal Year Annual Research Report
葉の向背軸形成におけるGABA代謝経路の役割の解析
Project/Area Number |
08J02221
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊倉 浩一 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 向背軸 / GABA代謝経路 |
Research Abstract |
私は、植物の地上部の器官初期発生のメカニズムを明らかにすることが最終的な目標として研究をおこなってきた。私は本研究員を始める段階で既にGABA代謝経路に含まれる酵素をコードするENF1遺伝子が葉の向背軸形成に関わることを明らかにしていた。代謝経路の形態形成への関与は、何らかの形態形成に関わる植物ホルモン様の化合物の代謝が異常になり、それによって形態形成の調節をおこなっていると考えられる。しかしながら、ENF1は一次代謝に関わると考えられており、その代謝経路には既知の植物ホルモン等は含まれていない。すなわち、ENF1がいかにして葉の向背軸形成に関わっているかを明らかにすることで、植物の形態形成に関わる新規の植物ホルモン様物質の同定に至ることができると考えている。本年度は、1)enf1変異体と野生型とを用いて比較メタボローム解析を行う、2)enf1変異体と野生型とを用いて比較トランスクリプトーム解析を行う、3)enf1変異体の抑圧変異体の単離、という主に3つの解析をおこなってきた。中でも、enf1変異体と野生型とを用いて比較メタボローム解析では、以下の結果が得られた。野生型と変異体とで量が変化していた化合物を詳しく見ると、変異体で減少していたものの中にクエン酸回路の化合物が多く含まれていた。一方、変異体で増加していたものにはアミノ酸類が多く含まれていた。さらに、ENF1遺伝子がGABA代謝経路の最後の段階の酵素をコードしており、この酵素によってGABA代謝経路の化合物からクエン酸回路の化合物へと変換されることを考え合わせると、特に茎頂部においてアミノ酸類はGABA代謝経路を介してクエン酸回路へと流れ込んでおり、ENF1はそこに関わっていると考えられた。
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Research Products
(8 results)