2009 Fiscal Year Annual Research Report
葉の向背軸形成におけるGABA代謝経路の役割の解析
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08J02221
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊倉 浩一 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 向背軸 / 植物発生学 / GABA代謝経路 |
Research Abstract |
葉の発生における向背軸方向の極性の形成は、葉の形態形成や光合成などを最適にするために重要であると考えられている。私は、向背軸方向の極性の堅牢さ(robustness)に異常を示す突然変異体enf1の解析を通して、GABA代謝経路がこの極性の形成に重要な役割を果たしていることを明らかにしていた。本年度は、1)ENF1遺伝子の発現解析、2)GABAT1遺伝子の機能解析、3)コハク酸セミアルデヒド(SSA)の機能解析、をおこなった。ENF1遺伝子の発現は茎頂分裂組織から離れた葉原基や茎において強い発現が見られた。このことからENF1の基質であるSSAが茎頂分裂組織に多く蓄積していると考えられた。また、SSAの合成酵素であるGABATの機能欠損変異体gabat1において、向背軸方向の極性を調べたところ、背軸側化が起こっていることが見出された。enf1 gabat1二重変異体の解析から、ENF1とGABAT1との間に遺伝学的相互作用が見出されたことから、これらの変異体の原因は同一の因子の作用によるものと考えられた。そこで、私はGABAT1によって合成され、ENF1によって分解を受ける化合物SSAが向背軸方向の極性形成に関わっているのではないかという作業仮説を立て以下の実験をおこなった。葉原基形成時に外からSSAを投与したときの向背軸極性への影響を観察した。すると、低頻度ではあるもののSSAの投与により向背軸極性に異常に由来すると考えられる葉の発生異常が観察された。以上のことから、GABA代謝経路はSSAを介して向背軸方向の極性の形成に関与していることが示された。
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Research Products
(1 results)