2008 Fiscal Year Annual Research Report
精密分子触媒を用いたユビキタス結合の直接変換と機能性物質合成への応用
Project/Area Number |
08J02225
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳澤 周一 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ビアリール / 炭素-水素結合 / ロジウム触媒 |
Research Abstract |
近年、炭素-水素結合の触媒的直接変換によってビアリール化合物を効率的に合成しようとする試みが世界中で精力的に行われている。そのような背景の中、我々も配位子設計に基づくユニークな触媒開発に成功した。すなわち、芳香族化合物とヨウ化アリールを電子求引性ホスファイトP[OCH(CF_3)_2]_3を補助配位子にもつロジウム触媒と炭酸銀の存在下で作用させると、C-Hカップリング反応が進行し対応するビアリール化合物が収率良く得られた。本反応はチオフェン、ビチオフェン、フラン、ピロール、インドールなどのヘテロ芳香族化合物のみならず、ベンゼン誘導体でも進行することが明らかとなった。本反応は比較的広い基質適応範囲を持っており、様々な有用物質群の迅速合成を可能にする手法である。しかしながら、このロジウム触媒系では適応可能な基質は電子豊富芳香族化合物に限られ、ピリジンなどの電子不足芳香族化合物の直接アリール化は困難であった。この限界を打破する目的で行っていた新触媒システムの開発研究の過程で、遷移金属触媒や有機金属試薬を一切用いない新しい芳香環の直接アリール化反応を発見した。すなわち、ピラジンとヨードベンゼンの混合物に対してKOBu^tを作用させ、マイクロ波照射下、50℃で5分間撹拌すると、芳香環連結反応が進行しフェニルピラジンが98%の収率で得られることが分かった。KOBu^tによって促進される本反応は、ピリジン、ピリダジン、ピリミジンなどの電子不足な含窒素ヘテロ芳香環に適応可能である。本反応はこれまで困難であった電子不足芳香環の直接アリール化を可能にしただけでなく、多くのクロスカップリング反応で用いられている塩基であるKOBu^tの使用に関する警鐘にもなったと考えている。
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Research Products
(4 results)