2009 Fiscal Year Annual Research Report
精密分子触媒を用いたユビキタス結合の直接変換と機能性物質合成への応用
Project/Area Number |
08J02225
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳澤 周一 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ビアリール / 炭素-水素結合 / ロジウム触媒 |
Research Abstract |
オリゴアレーン類は、機能性有機材料分野の根幹をなす物質群であり、その効率的かつプログラムされた合成法の確立が及ぼすインパクトは計り知れない。我々はこれまでに開発しているロジウム触媒に加え、新たに2つのパラジウム触媒を開発することができた。これら3つの触媒を逐次的に用いることで、結合選択的な芳香環の直接アリール化が可能になり、テトラアリールチオフェンのプログラム合成法を確立した。3-メトキシチオフェンを出発原料に用い、RhCl(CO){P[OCH(CF_3)_2]_3}_2触媒の存在下Ar^1I/Ag_2CO_3で処理すると、チオフェン環の2位でアリール化が進行する。得られた生成物をPdCl_2/P[OCH(CF_3)_2]_3触媒とAr^2I/Ag_2CO_3で処理すると、4位選択的なアリール化が進行する。得られたジアリール化生成物をPdCl_2/2,2'-bipyridyl触媒の存在下Ar^3I/Ag_2CO_3で処理するとトリアリール化生成物が得られる。これを対応するトリフラート体に変換後、パラジウム触媒の存在下でAr^4B(OH)_2と作用させる(鈴木-宮浦カップリング)とテトラアリールチオフェンが得られる。 テトラアリールチオフェンには多数の異性体が存在するが、本合成法を用いることで、考えられる全ての異性体を選択的かつプログラムされた様式で合成することが初めて可能になった。芳香環に導入されるアリール基の源は全て入手容易なヨウ化アリールもしくはアリールボロン酸であるため、多種多様なテトラアリールチオフェンの迅速合成が可能である。本合成法は、これらの物質群のライブラリー構築と、それを基盤とした機能性有機材料の創製に威力を発揮することが大いに期待できる。
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Research Products
(3 results)