2009 Fiscal Year Annual Research Report
機能性ナノカーボン創製を指向した分子触媒化学の開拓
Project/Area Number |
08J02226
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南保 正和 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フラーレン / パラジウム / 触媒反応 |
Research Abstract |
当研究室ではこれまでに金属触媒を用いて求核剤と求電子剤を段階的に反応させることにより、2置換フラーレンを得ることに成功している。次に我々は求核剤と求電子剤を同時に反応させることで2置換フラーレンを直接得ることを目指した。その際に求核性と求電子性を併せもつビス(π-アリル)パラジウム錯体に着目し、これを用いた連続的なアリル基導入反応を検討した。その結果、パラジウム触媒存在下、フラーレンにアリルクロライドとアリルスズを作用させると、4つのアリル基を位置選択的にフラーレン上に導入できることを見出した。グラムスケールでの合成も可能である。また生成物の単結晶X線構造解析から明らかになったのは、テトラアリル化の非対称な付加様式、すなわち生成物がキラリティを有することである。さらに種々のコントロール実験により、本反応は1,4-ジアリル化を経由して起こることだけでなく、ユニークな位置選択性の発現には立体的要因と電子的要因の両方が寄与していることが明らかとなった。我々はテトラアリル化の反応要素である求核的/求電子的アリル化、それぞれのステップに立ち返って反応を検討した。まず求核的アリル化反応に関してはPd触媒存在下、アリルスズを1,2-ジクロロベンゼン/飽和ヨウ化アンモニウム水溶液中で反応させることでヒドロアリル化された生成物が得られることを見出した。さらに得られたヒドロアリルフラーレンに対して、以前我々が開発したヒドロフラーレンの求電子的アリル化の条件を適用することにより、2種類のジアリル体を得ることに成功した。本手法により導入できるアリル基は多様に化学変換できるため、様々なフラーレン誘導体の迅速合成を可能する新たな手法を提供できたと考えている。
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Research Products
(3 results)