2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性ナノカーボン創製を指向した分子触媒化学の開拓
Project/Area Number |
08J02226
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南保 正和 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ナノカーボン / フラーレン |
Research Abstract |
限りない可能性を秘めているナノカーボンの潜在能力を引き出した新しい機能性物質を開発することは物質創製や有機合成の分野にブレイクスルーをもたらすばかりか、将来のナノテクノロジーの基盤技術の進歩に大きく貢献する。本研究の目的は、有機合成にもはや欠かすことのできない分子触媒化学のエッセンスをナノカーボンの科学に導入し、新しい機能性ナノカーボンを創製することである。これまでの研究でパラジウム触媒を用いることで効率的な2置換フラーレン誘導体の合成を達成できたが、次に多置換フラーレン誘導体を一挙に得る手法の開発を目指した。その結果、パラジウム触媒存在下でC_<60>にアリルクロリドとアリルトリブチルスズを作用させるとテトラアリルフラーレンが高収率かつ位置選択的に得られることを見出した。得られたテトラアリルフラーレンはキラリティを有しており、その構造は単結晶X線構造解析により確認した。テトラアリルフラーレンはルテニウム触媒存在下で、位置選択的な閉環メタセシス反応が進行することが分かった。さらに本反応をキラルなホスホラミダイト配位子を用いて行うことで、テトラアリルフラーレンの触媒的不斉合成を達成した。 また酸触媒による活性化を利用した新しい官能基化反応を検討したところ、酸触媒を用いることでアジリジノフラーレンから様々な多官能性フラーレンを効率的かつ位置選択的に合成できることを見出した。まずアジリジノフラーレンの実用的な合成法として、銅触媒を用いたフラーレンのアジリジン化反応を開発することに成功した。さらに得られたアジリジノフラーレンはトリフルオロメタンスルホン酸触媒存在下で様々な求核剤と反応することを見出した。 以上の結果から従来では合成困難であった新規フラーレン誘導体の合成が達成できたと考えている。
|
Research Products
(3 results)