2008 Fiscal Year Annual Research Report
2次元フォトニック結晶を用いた光バッファ回路の開発
Project/Area Number |
08J02242
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉坂 純一郎 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光通信 / 光スイッチ / 光導波路 / フォトニック結晶 / 境界要素法 |
Research Abstract |
光通信において必須となる光信号のバッファリング(遅延)を行う光バッファ回路の開発を目的として、本年度はバッファ回路を構成する「方向性結合器光スイッチ」の(1)高消光比化、(2)制御光を含めたスイッチング過渡応答計算、及び、「リング導波路」の(3)低損失化について開発を進めた。 (1)については、方向性結合器両端にある分離導波路を、2次元FDTD法で電磁界分布を確認しながら構造を調整した。試作したデバイスは光変調器とロックインアンプを用いてSN比を改善した測定光学系を用い、ペルチェ素子によるスイッチング動作実験で消光比が12dBであることが明らかとなった。 (2)については、技術的に困難な量子ドットの非線形効果によるスイッチングの代わりに、デバイスの作製を行っている産業技術総合研究所にて開発されたマイクロヒーターによるスイッチングを用いたシステムに変更した。この方式は制御光を使用せず、過渡応答計算は必要なくなった。 (3)について、リング導波路の低損失化、低群速度化のためには、まず自由曲線導波路の分散特性、及びフォトニックバンド構造を明らかにすることが必要である。一般に使用されている数値解析手法では計算が非常に困難であるため、新たに境界要素法を応用した計算手法を開発した。開発した手法で自由曲線(円弧状曲がり)導波路のフォトニックバンド構造を求めたところ、導波モードが直線導波路のものとほぼ同一の分散特性を有し、低群速度帯域も有することが明らかとなった。しかし導波路を曲げたことによりフォトニックバンドギャップが消失していることも判明し、導波損失の原因となっていることが明らかとなった。そこで最大のフォトニックバンドギャップ帯域幅が得られるように導波路構造の最適化を行い、その結果直線導波路と同程度の高い透過率を有する低損失曲がり導波路が設計できた。
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Research Products
(6 results)