2008 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙大規模構造・重力レンズ現象を用いた暗黒物質・暗黒エネルギーの性質の探求
Project/Area Number |
08J02246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加用 一者 The University of Tokyo, 数物連携宇宙研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙大規模構造 / N体シミュレーション / 重力レンズ |
Research Abstract |
本年度は、宇宙大規模構造を形作る銀河の分布の統計量、特にパワースペクトルについて、大量の精密なN体シミュレーションを実行し研究を行った。その結果、シミュレーションのボックスの大きさの有限性はパワースペクトルに大きな影響を及ぼすが、重力不安定性による構造進化理論を用いると、あたかも無限大のボックスの大きさでシミュレーションをしたかのように補正を加えることが出来ることを見いだした。昨今、パワースペクトルの理論予言の適応範囲を準非線形領域へのばす試みが精力的に行われているが、その理論予言との比較にN体シミュレーションは欠かせない。今回の発見により両者の比較がより直接的に行えることになる。さらに、これらのN体シミュレーションデータを用いて、パワースペクトルの共分散行列を導出した。近い将来精密に各種宇宙論パラメータを制限しようとすると、一つしか無い宇宙の観測データに内在する統計的エラーを見積もらなければいけないが、このときに我々の導いた共分散行列は重要となる。さらに、観測領域の外の情報が、観測されたデータの統計量にどのような影響を及ぼしうるのか、についても詳細に議論を進めているところである。 また、我々はスローン・デジタル点スカイサーベイのクェーサーカタログから、重力レンズクェーサーを探査している。本年度は追観測をハワイ島にあるハワイ大学UH88望遠鏡および、すばる望遠鏡を用いて三度行った。これにより7、8個程度の新たな重力レンズクェーサーを発見し現在報告者を筆頭筆者として発見論文を執筆中である。
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Research Products
(5 results)