2009 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙大規模構造・重力レンズ現象を用いた暗黒物質・暗黒エネルギーの性質の探求
Project/Area Number |
08J02246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加用 一者 The University of Tokyo, 数物連携宇宙研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙大規模構造 / SDSS / 重力レンズ |
Research Abstract |
ダークマター・ダークエネルギーによる構造形成は、大きく別けて「揺らぎのパターン」と「揺らぎの成長率」に影響を及ぼす。私はこれらの問題にいくつかの異なる視点・視座より研究を行っている。 「揺らぎのパターン」について、本年度は主にシミュレーションデータを用いて、質量密度揺らぎのパワースペクトルの共分散行列の性質の調査、および、銀河速度パワースペクトルの抽出法の開発を行った。前者では従来とは桁で上回る回数(5000回)のN体シミュレーションデータを生成、共分散行列を構築し、摂動理論の予言との比較を行った。また大量の個数を活かして、必要な精度の共分散行列を得るにはどれだけの回数が必要なのかを調べ、その理論式の導出にも成功した。また本年度11月より、英国ポーツマス大学に長期滞在中である。同大学の研究者と共同研究を進め、銀河速度の情報を取り出す手法の開発を行っている。この手法をシミュレーションデータに適用することで、銀河速度パワースペクトルを抜き出し、抜き出したパワースペクトルの精度が理論予想と一致することを見いだした。論文は平成22年度分として出版される。 「揺らぎの成長率」に関して、昨年度に引き続き、我々はスローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)のクェーサーカタログから、重力レンズクェーサーを探査している。本年度は昨年度末に発見した8つの重力レンズクェーサーを報告した。また、SDSSのデータリリースDR5に相当する重力レンズカタログをまとめ、投稿中である。来年度にも引き続き探査を行い、1、2年程度のうちにSDSSの最終データリリースDR7相当のカタログを出版し、我々の探査計画はひとまずの完成を見る予定である
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Research Products
(6 results)