2008 Fiscal Year Annual Research Report
「文芸復興」研究:マス・メディアの成立と「文学ジャンル」の形成を中心に
Project/Area Number |
08J02282
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平 浩一 Waseda University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日本文学 / 文芸復興 / メディア / 大衆 |
Research Abstract |
1935年前後の「文芸復興」期において、大衆消費社会や市場経済の萌芽が日本文学・日本文化に及ぼした影響を、マス・メディアが果たした機能を見据えながら、以下2つの視点より研究を遂行した。1、戦後に大流行した太宰治等の「文芸復興」期の動向に注目し、文学作品を消耗品とする当時のジャーナリズムのシステムに強く抗いながら、同時に見えざる「大衆」を対象とするために作家が用いた表象行為を考察し、それが戦後の日本文化に及ぼした影響について検討した。2、上記の考証と並行して、一方向的な視点に偏らないよう、戦後の文芸批評家による1935年前後への視座について考察した。特に『近代文学』同人による「文芸復興」を中心とした日本近代文学史観の構築について検討した。 上記2点の考証を通して、日本の「文芸復興」が戦後の文化状況の基盤となっていたことを、具体的な形で明らかにした。まず、「文芸復興」期に作家が〈読者〉表象という意識的な方法を生成させていたこと、また、そうした表象行為が戦後の「大衆」の共感を喚起し、そこに社会的背景と文化状況とを関係づける命脈が形成されていたことを明らかにした。さらに、戦前/戦後の日本文学に対する双方向的な視座から「文芸復興」という現象の位置づけを行い、戦後に形成された日本近代文学史観において、大衆消費社会や市場経済といった要素が多く捨象されていたことを浮き彫りにした。それらの研究成果は、全国学術誌等に2本の論文として公開した。
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Research Products
(2 results)