2009 Fiscal Year Annual Research Report
C-H活性化を用いたタンデム型反応による含窒素複素環化合物の合成法の開発
Project/Area Number |
08J02283
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡部 敏明 Kyoto University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 含窒素複素環化合物 / 遷移金属触媒 / C-H活性化 / タンデム型反応 / パラジウム |
Research Abstract |
N-アリール化と酸化的C-H活性化を経由したタンデム型反応によるカルバゾール骨各の一挙合成法のさらなる展開を目指し、酸化的C-H活性化の反応機構の解明と、カルバゾール骨格を有する抗癌剤リード化合物の創出を志向した構造活性相関研究を行った。 まず反応機構の解明を目的とし、重水素化したジアリールアミンを用い速度論的同位体効果を測定した。その結果、同位体効果はほとんど観察されなかったことから、求電子置換反応が反応機構に関与していると考えられる。また、反応中間体の補足実験により、酸化的C-H活性化において最初の反応は、より電子豊富な側から進行していることが強く示唆された。これらの結果は新規反応開発に関する有用な基礎的知見を提供するものと判断される。 続いて、本カルバゾール合成法を抗癌剤リード化合物の創出を目指した構造活性相関研究へと展開した。上述のone-pot反応により得られたカルバゾール誘導体のEg5阻害活性を評価したところ、いくつかの化合物に阻害活性が認められた。中でも、2位にトリフルオロメチル基を有するカルバゾールが有望な阻害活性を示し、ヒト培養細胞において有糸分裂停止の表現型を引き起こすことを見出した。そこで、さらなる構造活性相関研究を行った結果、より強力なEg5阻害活性を示す7-トリフルオロメチル-β-カルボリンを見出した。これらの構造展開を行う上で、報告者が開発したone-potカルバゾール合成反応は極めて有用であった。
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Research Products
(5 results)