2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル触媒を用いた水素-ホウ素および炭素-ホウ素結合の活性化とその利用
Project/Area Number |
08J02322
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平野 康次 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教
|
Keywords | 光学活性配位子 / ロジウム / ニッケル / パラジウム / 炭素-水素結合直接変換 / 不斉共役付加 / アゾール / インドール |
Research Abstract |
研究初年度の目的達成のため、いくつかの新しいタイフの光学活ホスフィン-オレフィン配位子を設計し、その効率的な合成法を確立することに成功した。また、すでに合成されていたクラウンエーテル部位を有した光学活性ビホスフィン配位子の有機合成反応への利用についても同時に検討を行った。結果、このビホスフィンを支持配位子とするパラジウム錯体が有機ボロン酸誘導体の共役エノン類への不斉共役付加反応に有効であることを見いだした。 一方、種々の遷移金属錯体を利用した炭素-水素結合直接変換反応に関する研究もあわせておこなった。その結果、ニッケル触媒を用いた臭化アリールによるアゾール類の直接アリール化を見いだした。これまでパラジウムやロジウムを中心として研究されてきた触媒反応が、安価でかつ貯蔵量の多いニッケルを用いて代替できる可能性を示している。これは学術的および工業的に極めて興味深いだけでなく、近年盛んに提唱されている元素戦略の観点からも重要な知見である。さらに、パラジウム触媒存在下でインドールカルボン酸を臭化アリールと共に処理すると炭素-水素結合の直接アリール化と脱炭酸を伴うアリール化が同時に進行し、インドール骨格に一挙に二つアリール基を導入できることを見いだした。なかでも、4-トリフルオロメチルフェニル基を二つ導入したインドールは固体状態で極めて強い青色の蛍光発光を示し、その量子収率が97%にもおよぶことを明らかにした。これらと同時に、ロジウム触媒存在下での末端アルキンを用いる反応を検討するなか、ヘテロ芳香族化合物の炭素-水素結合の直接アルケニル化反応を見いだした。同様の反応例が近年数多く報告されているものの、一般に末端アルキンはそれ単独で二量化やオリゴマー化をおこしやすいために成功例は極めて少ない。適用可能な基質はシリルアセチレンに限られるものの、非常に効率良く反応が進行する触媒系の構築に成功した。
|
Research Products
(8 results)