2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02340
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂田 有弥 Osaka University, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 南アフリカ / アパルトヘイト / 土地改革 / 黒人新興農家 / 土地再分配 / 黒人階層分化 / フィールドワーク / ザニーン |
Research Abstract |
本年度は6月から2月にかけて、南アフリカ(南ア)北部、リンポポ州ザニーン県にて土地改革プログラムと当プログラムに該当する農家で、インタビューを中心にフィールドワークを行った。ザニーン県は温暖な気候で降雨量も多く、リンポポ州で最も農業生産量が高い県である。現南ア政府が行う土地改革のひとつ、土地再分配プロジェクトは、白人が剥奪した土地を一度政府が買い取り、その土地を黒人に分配して白人農家と競争できるような黒人農家を育てることを目的としている。 フィールドワークの結果明らかになったことは主に以下3点である。1)土地再分配プロジェクトのもとの農家のほとんど全てが金銭的な問題を抱えていること、2)土地再分配プロジェクトの受益者である新興農家にとって、生産物を売るための安定した市場の確保が非常に困難であること、3)受益者の社会背景によって農業パフォーマンスがかなり異なることである。 金銭的な問題に関しては、アパルトヘイト時代の白人政府に比べて、現政府の農家への補助金が大変に少ないことである。土地再分配の受益者は、政府からほぼ無償で土地を獲得することができるが、農機具や労働力の不足により、農業生産性はかなり低いところが多い。二つめの市場の確保の問題に関しては、たとえ農産物を生産することができても、市場が既存の白人農家に独占されていることが多く、黒人農家は継続して安定的な市場を確保することが困難であった。三つめの受益者の社会背景に関する問題においては、アパルトヘイト時代に白人農家の労働者として働いていた受益者の農業生産性は高いが、貯蓄額が少ないために資金不足から農業に頓挫し、貧困状態に陥る傾向にあった。 現在南アの農民の間では、土地改革の受益者になることができる農民とそうでない農民、また土地改革受益者の間でも経済的格差が広がっている。今後詳しく南アの土地問題とフィールドワークの結果の論理的分析をしていく。
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Research Products
(4 results)