2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02340
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂田 有弥 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 南アフリカ / 土地改革 / アフリカ人新興農家 / 市場 / インフォーマルマーケット / ローカル市場 / 農業資本家 |
Research Abstract |
昨年度までのフィールドワークから、南アフリカ(以下南ア)の土地改革とその影響は、以下3点にまとめられるとした。1)土地再分配プロジェクトのもとの農家のほとんど全てが金銭的な問題を抱えていること、2)土地再分配プロジェクトの受益者である新興農家にとって、生産物を売るための安定した市場の確保が非常に困難であること、3)受益者の社会背景によって農業パフォーマンスがかなり異なることである。しかし今年度は、「様々なリスクや障害をかかえながらも、南ア新興農家はどのように経営をして、その経営方法は既存の白人農家とどのように異なるか」といった問題意識を抱えて、2011年1月に約1か月の現地調査をした。調査地は昨年度までの場所と同じ、リンポポ州ザニーンである。 ザニーンの新興農家たちにインタビュー調査をした結果明らかになったことは、アフリカ人新興農家はすでに大規模白人農家によって占められている市場に参入するよりは、白人農家とは別の市場圏でマーケティングを行って農産物を卸す方を好むことがわかった。南ア政府は土地改革によってアフリカ人が大規模白人農家と同等の広さの農地をもち、白人農家と同等の農業資本家になることを期待している。しかし土地改革によって創出された農業分野での「アフリカ人資本家」は、白人資本家とは性格が異なることとなった。アフリカ人独立農家は「インフォーマル」なローカル市場に農産物を出荷している。「インフォーマル」なローカル市場とは、国道や県道の脇に簡素な出店を設置して農産物を売る人々である。また街の中心部に市の許可をとってテントを設置して出店を開いている人たちもいるし、あるいは車が信号待ちをしているときに、ドライバーに売りにきたりする人々もいて、彼らの商品の売り方は様々な形態をとっている。今年度の調査研究では、農地改革の受益者となったアフリカ人農家は、白人の経済市場圏に参入して白人農家と同じような経済活動を行うのではなく、彼ら独自の市場圏を開拓しており、南ア市場が大型企業による寡占状態にあるのに対し、アフリカ人独立農家は地域市場活性化に貢献できることがわかった。
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Research Products
(3 results)