2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域史からみるレソト山岳地における複合的生業の生成過程
Project/Area Number |
08J02359
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 美予 Kyoto University, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | レソト王国 / 山岳地 / 出稼ぎ / 生業変遷 / 土地利用 |
Research Abstract |
平成21年3月に3週間のフィールド調査を実施し、レソト山岳地の調査村における生業変遷に関するデータを収集した。例えば男性の出稼ぎ経験のライフヒストリーや、留守宅の現金支出と収入の聞き取り調査で得られたデータからは、1930年代から90年代までレソトの主な収入源であった南アフリカ鉱山への出稼ぎ労働が、山村においても重要な生業の一つであったことが明らかになった。また、女性の酒造りに関するインタビューでは、女性による酒を売る商売は、鉱山への出稼ぎ労働が最盛期の時代にも頻繁に行なわれており、留守宅の現金収入は必ずしも出稼ぎに出た夫の仕送りのみをあてにしたものではなかったことが明らかになった。今年度の前半は前回調査のデータを整理する作業に時間を費やし、今年度提出予定であった博士論文執筆に向け、これまでのフィールドワークで得られたデータとまとめた考察を行なった。ところが妊娠をしたため、秋に予定していた英国図書館への文献収集のための渡航を取りやめ、今年度後半はすでに手元にある文献の整理や、現段階で執筆可能な章の執筆など、来年度に提出を延期した博士論文の作業に時間をあてた。現段階で執筆可能な章とは調査村の自然環境と土地利用についての部分であり、傾斜の多い土地を人々がどのように効率的に利用し、農耕と牧畜の複数の生業を成り立たせているかを考察したものである。南アフリカ鉱山への出稼ぎ労働は90年代以降減少の一途をたどっているが、そうした社会的変化により、農耕・牧畜そして出稼ぎで成り立ってきたレソト山岳地の複合的な生業形態が、どのように変化しつつあるのか今後もデータ分析と考察を続け、博士論文としてまとめていく予定である。
|
Research Products
(2 results)