2008 Fiscal Year Annual Research Report
複数感覚様相に属する情報を統合した概念形成能力の比較心理学的・比較発達学的分析
Project/Area Number |
08J02367
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 幾磨 Kyoto University, 霊長類研究所, 特定助教
|
Keywords | 感覚統合的概念 / 社会的概念 / 比較認知科学 / 比較発達学 |
Research Abstract |
チンパンジーを対象に、彼らが複数感覚様相からの情報を統合した他個体概念(感覚統合的他個体概念)を持つか、を分析する実験を行っている。現在、遅延象徴見本合わせ課題を用いて、写真に映った5頭の既知個体を弁別することを被験体に訓練している。学習が形成された後にはテストへと移る。テストでは、見本刺激が消えた後、選択刺激が現れるまでの間に、見本刺激として呈示された個体の音声(一致条件)・或いはその他の個体の音声(不一致条件)、または同じ時間の無音(統制条件)が挟み込まれる。もし被験体が、既知他個体について感覚統合的概念を持つのであれば、一致条件では成績の向上、不一致条件では、干渉により成績の低下が見られると考えられる。 2)個体概念を支えるひとつの基盤である顔知覚についても、研究を行っている。ヒトは、正立顔を見たときには目・鼻・口の図形的特徴に注目(全体的処理)をし、識別していることが知られている。 また、こういった全体的処理は、顔が倒立すると減少する。その結果、ヒトに顔識別能力は倒立顔に対しては正立顔に対してよりも低くなる。こういったヒトの顔知覚様式が、ヒト以外の霊長類においても共有されているのかについては、いまだ充分な結果が得られていない。そこで、本研究では意図的に内部特徴を操作するサッチャー錯視に注目し、期待違反法を手続きに用いることで、ニホンザルがサッチャー錯視を知覚するかを分析している。現段階では、被験体数が少ないため、何かを結論付けることはできないが、今後継続して実験を行うことで、ヒトの顔知覚の進化的基盤に対し理解が深まると考えられる。
|
Research Products
(7 results)