2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工らせん高分子の創製及び制御と高分子キラル材料への応用
Project/Area Number |
08J02369
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 晋三 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アジド / アセチレン / クリック反応 / 誘起円二色性 / ポリアセチレン / 相補的二重らせん高分子 / アミジニウム-カルボキシレート塩橋 / 二重らせんモノマー |
Research Abstract |
銅触媒を用いたアジドとアセチレンのクリック反応は、機能性化合物を合成する上で非常に有力な手法の一つであり、高分子合成にも広く利用されている。しかしながら、これまでにクリック反応を光学活性高分子の合成に応用した例は非常に少ない。本研究では、アジド基とアセチレン部位を併せ持つ光学活性モノマーを、クリック反応によって重合することで、新規光学活性ポリマーを合成した。得られたポリマーは、ジメチルホルムアミドなどの良溶媒中でモノマーとは異なる誘起円二色性(ICD)を示し、キラルな主鎖構造を形成していることが示唆された。さらに、それらのポリマー溶液にクロロホルムなどの貧溶媒を添加すると、キラルな会合体の形成に伴いCDのパターンや強度が大きく変化することが明らかになった。また、同じモノマーをロジウム触媒によって重合することで、一方向巻きに偏ったらせん構造を有するポリアセチレンを合成することにも成功した。得られたポリアセチレンの側鎖のアジト基をクリック反応によって化学修飾することで、主鎖のらせん構造が制御可能であることも見出している。 また一方で、相補的二重らせん高分子の構築にも取り組んでいる。これまでに研究代表者が所属する研究グループでは、光学活性なアミジン部位もしくはカルボキシル基を有する相補的な共役高分子をそれぞれ合成し、それらが溶液中でアミジニウム-カルボキシレート塩橋を介して一方向巻きの二重らせんを形成する事を明らかにしている。本研究では、塩橋を介して二重らせんを形成したモノマーの重合による、長さの揃った相補鎖からなる二重らせん高分子の合成及び、その構造に関する検討を行った。CD・吸収スペクトル測定及び、サイズ排除クロマトグラフィーを用いた会合挙動に関する検討の結果、一部欠陥の存在は示唆されたものの、二重らせんモノマーを重合する事によって二重らせん高分子を合成できることが明らかになった。
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