2010 Fiscal Year Annual Research Report
人工らせん高分子の創製及び制御と高分子キラル材料への応用
Project/Area Number |
08J02369
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 晋三 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 二重らせん / 高分子 / m-ターフェニル誘導体 / カルボン酸 / アミン / 円二色性 / 不斉誘起 / 不斉増幅 |
Research Abstract |
これまでに我々は、両末端にエチニル基、中央部位に光学活性なアミジンあるいはカルボキシル基を有するm-ターフェニル誘導体(mono-(R)-A, mono-C)とp-ジヨードベンゼン誘導体との共重合によって得られた二種類の相補的な共役高分子(poly-(R)-A,poly-C)が、アミジニウム-カルボキシレート塩橋を介して一方向巻きに片寄った二重らせん構造を形成することを明らかにしている。本研究では、アキラルな共役高分子poly-Cの自己会合による二重らせん形成およびキラルアミンを用いたpoly-Cへの不斉誘起について検討した。 グラファイト基板上で作製したpoly-Cの二次元結晶の原子間力顕微鏡観察および、配向フィルムの広角X線回折測定を行ったところ、poly-Cは固体状態においてカルボキシル基同士の分子鎖間水素結合を介して、右巻きおよび左巻きの二重らせん構造を形成することが明らかとなった。一方、キラルアミン存在下、クロロホルム/THF混合溶媒中でpoly-Cの円二色性(CD)スペクトルを測定したところ、ポリマー主鎖の吸収領域(300-370nm)に誘起CDが観測された。これは、キラルアミンとの非共有結合的な相互作用によりポリマー主鎖にキラルなコンホメーションが誘起されたことを示唆している。Mono-Cと2-メチルピペリジンからなる錯体の単結晶X線構造解析の結果から、二つのカルボン酸と二分子のアミンが環状の水素結合を形成し、一方向巻きに片寄った二重らせん構造を形成している可能性が高いことが明らかとなった。さらに、様々な光学純度の(R)-1-フェニルエチルアミンを用いて、その鏡像異性体過剰率に対する非線形効果を調べたところ、正の非線形効果を示すことがわかった。
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