2008 Fiscal Year Annual Research Report
上田貞治郎写真コレクションの写真史料学-蒐集から都市写真史へ1920〜1944-
Project/Area Number |
08J02412
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小川 直人 (緒川 直人) Hiroshima University, 総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 写真史料学 / 写真史 / アーカイブ / 日本史 / 都市文化 / デジタルアーカイブ / 史料学 |
Research Abstract |
研究基盤を整備すべく,大阪府上田家の悉皆調査,数千点の写真史料・文書史料群の「上田貞治郎関係文書」の整理と基礎目録作成に尽瘁し,膨大な史料群の全貌を把握した。 その結果,同文書から「上田写真機店京城支店関係史料群」を発掘した。従来,植民地朝鮮の写真業界と都市社会の関係を窺知しうる浩瀚な一次史料は未発掘であり,同史料群は,一国史的枠組であった日本写真史学を,植民地研究でも未開拓であった植民地写真史として描き直す可能性を秘めている。植民地京城写真史料研究会を主宰し,検証を進めている。 さらに1件の学会報告を行い,2件の査読付論文を投稿した。論文「デジタル化による写真史料学研究の方法論的再講築」では,写真1点ごとの映像に関心を特化してきた従来の研究が看過してきた,史料を「群」に編制するアルバムの役割に注目して,「アルバム-アルバム頁-複数の写真群-写真1点」という史料群の階層構造とそれが表現する独特のフォトストーリーをデジタルアーカイブで再現する,写真史料記述の新たな方法論を提示した。 また『歴史学研究』に投稿(査読中)した論文「古写真蒐集家と「写真史-以前」」では,古写真蒐集家上田貞治郎のコレクション形成過程を,蒐集家・古書肆・自治体史編纂事業・元写真師らの社会的結合が1920年代大阪に胎動させた「古写真蒐集家の世界」の都市社会史的考証を通じて解明した。同論文では,従来の作家論や芸術表現批評など定型ジャンルへの固執を批判し,社会学・写真史・史料学を架矯した「写真の歴史学」の可能性から,「古写真蒐集家の社会吏」「写真史料調査史」という写真史学の新パラダイムを提示した。
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Research Products
(4 results)