2009 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙低密度領域のフロンティア開拓を目指すX線カロリメータの開発
Project/Area Number |
08J02427
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
星野 晶夫 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | X線天文学 / 銀河団 / 外縁部 / X線マイクロカロリメータ / 断熱消磁冷凍機 / 要素技術 / 熱スイッチ |
Research Abstract |
本研究は、これまでの研究成果をもとに、「すざく」衛星を用いた低密度宇宙という困難ではあるが重要な観測対象をキーワードとした銀河団外縁部の研究とTES型X線マイクロカロリメータの動作環境構築とを並行して進める計画である。得られた温度と輝度データに基づき、Suto et al.(1998)で報告された非等温SSMモデルの検証を試みたが、外縁部で一致しなかった。このことは、銀河団外縁部でのガスの力学的非平衡の可能性を示す。我々はエントロピー分布を調べ、XMM-Newtonで観測された0.15-0.5r_<200>の結果と滑らかにつながることを確認した。同様の解析をA2204銀河団についても調べたところ、明らかなエントロピープロファイルの平坦化が見られた。また、ビリアル半径付近で電子-イオン間の相互作用から平衡に向かう時間スケ-ルを見積もると、いずれも緩和時間が1Gyr程度となることがわかった。銀河団外縁部でエントロピーの平坦化が見られるA2204のような銀河団では外縁部では、電子温度とイオン温度の不一致が見られている可能性がある。一方、エントロピー勾配が平坦化しないA1413などの銀河団は、銀河団外縁部ヘフィラメント方向からのガス降着で加熱されているためにエントロピーの勾配に変化がないと考えられる。動作環境構築として、熱スイッチ開発の研究をすすめた。熱接触を切った状態での低温側への流入熱を0.7μW以下かつON時の熱伝導が6mW程度を実現する熱スイッチの設計と製作までをおこない、ON/OFF=11mW/10uW@4.2Kという熱伝導度比を得た。この成果は現状のすざくXRSに搭載されている熱スイッチと同等の性能を持つ。
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Research Products
(1 results)