2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02437
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
上野 和英 Yokohama National University, 工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | イオン液体 / コロイド / ゲル / 構造色 |
Research Abstract |
本研究では、新規イオン液体-コロイド粒子ハイブリッドを光学素子、電解質という二種類の機能性材料として展開し、各分野の発展に貢献する材料開発と設計指針の提案を目的としてきた。機能性光学素子としては、これまで困難であった角度依存性の無い構造色材料をイオン液体中で形成されるコロイドガラスを応用することで容易に作製することに成功した。更に角度依存性の無い光学特性について、そのメカニズムの詳細を反射・透過スペクトルなどの光学的測定、及びイオン液体中におけるその場TEM観察とそのTEM画像の二次元フーリエ変換を用いた粒子配列構造の解析を行い、コロイド粒子の配列構造と特異な光学特性との相関性を明らかにした。また、分散コロイドとして温度応答性コロイド粒子を用いる事で、温度によって着色・消色を制御することを可能とした。機能性電解質としては、少量のシリカナノ粒子を添加することでイオン液体を擬固体化できることを見出した。この固体電解質は液体状態と同等の非常に高いイオン伝導性を示し、更に擬塑性流体的な流動特性を示すことが分かった。これらの結果はイオン液体電解質の簡便な固体化と高イオン伝導の両立だけでなく、印刷技術を用いた各種電池作製が可能である点から非常に重要な結果である。更に、イオン液体-コロイド分散系のレオロジー測定を系統的に行った結果から、それぞれ異なるイオン液体中で特異的なレオロジー応答(shear thinning, shear thickening)が得られることを見出した。また、表面力測定および共振ずり測定によりイオン液体-シリカ表面におけるイオン液体分子のレイヤー構造形成とナノ空間中での粘性増大(10~1000倍程度)を明らかにした。以上の結果より、本研究を通して研究課題であった機能材料の創製のみならず、イオン液体-コロイド界面の基礎的知見も得ることが出来た。
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Research Products
(12 results)