2008 Fiscal Year Annual Research Report
HIV感染症動物モデル系の確立とAIDS発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J02500
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 佳 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒト化マウス / ヒト免疫不全ウイルス / 感染指向性 / 持続感染 / CD4陽性T細胞 / 細胞周期 / 免疫病理学 / ウイルス学 |
Research Abstract |
NOG-hCD34モデル系におけるHIV-1の感染指向性、および、HIV-1産生細胞と持続感染細胞の同定を目的とし、実験を行った。生後8-12週のNOG-hCD34マウスに、R5指向性(JR-CSF株)のHIV-1を接種した。そして、脾臓におけるHIV-1抗原(p24)陽性細胞の抗原マーカーを、flow cytometry法により解析した。その結果、R5指向性HIV-1感染マウスにおけるp24陽性細胞は、CD45RA-のmemory T細胞であることが確認された。また、これまでに報告されているin vitroにおける実験結果と一致し、p24陽性細胞はCD3陽性CD4陰性であり、HIV-1感染によって細胞膜上のCD4がdown-regulationされることが示唆された。さらに、p24陽性細胞の大部分はCD45R0陽性CCR7陰性であり、effector memory CD4陽性細胞(TEM)であることが確認された。そして、p24陽性細胞の約70%がKi67陽性の活性化分裂細胞であるとともに、一部のHIV-1感染細胞は、Ki67陰性の休止期非分裂細胞であることが明らかとなった。以上の結果は、R5指向性HIV-1は、生体内において、1)細胞膜上のCD4を強力にdown-regulationする、2)memory CD4陽性細胞に効率よく感染する、3)HIV-1産生細胞のほとんどは活性化したTEMであり、一部のKi67陰性休止細胞に持続感染が成立していることを示唆するものである。上述の実験結果について、国内外の学術集会において発表を行った。なお、2009年2月にカナダのモントリオールで開催された、HIV-1に関する学術集会(16th Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections)においては、その発表内容が評価され、Young Investigator Awardを受賞した。得られた結果に基づいた学術論文を、筆頭著者として編纂している(投稿中)。
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Research Products
(10 results)