2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯の器官原基の初期誘導と分化を制御する分子機構の解析
Project/Area Number |
08J02507
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石田 研太郎 Tokyo University of Science, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 歯胚 / 器官原基 / 上皮・間葉相互作用 / 遺伝子 / 歯の発生 / 器官原基法 / 歯胚誘導 / 器官発生生物学 |
Research Abstract |
本研究課題では、上皮・間葉組織の相互作用により誘導される歯胚の初期発生の時期特異的、空間的制御の分子メカニズムを明らかにする目的で、私たちが開発した器官原基法により作製した人工器官原基の初期発生における遺伝子発現を網羅的に解析した。その結果、歯胚初期発生期に相当する人工器官原基の培養10時間から20時間にかけて遺伝子発現が4倍以上変動する240遺伝子を抽出した。さらに歯の初期発生に関与する可能性の高い遺伝子群を絞り込むために、文献情報や各種データベース情報を参照してノックアウトマウスが発生のごく初期に死亡する遺伝子や、歯以外の器官発生に関与することが知られている遺伝子などを含む76遺伝子を選択した。 選択した76遺伝子から、歯胚初期発生時期のマウス胎仔顎で発現している遺伝子を選別するために、歯胚の初期誘導が起こる胎齢10.5日齢マウスにおける遺伝子発現部位をWhole-mount in situ hybridizationで解析した。その結果、下顎切歯歯胚が誘導される部位である下顎正中部において局所的に発現する17遺伝子を同定した。これらの17遺伝子にはヒトにおいて顎顔面形成異常を引き起こす症候群の原因遺伝子やマウス膵臓形成において重要な役割を担うことが証明されている転写因子が含まれていた。このことから、これらの17遺伝子に歯胚形成に関与する重要な遺伝子が含まれている可能性が強く示唆された。以上の結果から、歯胚形成を生体外で再現する人工器官原基の初期発生における遺伝子発現解析によって、歯胚の初期誘導に関与する可能性が高い17遺伝子をスクリーニングした。 また、同定した遺伝子の歯胚発生における分子機能を解析するために、レトロウイルス、アデノウイルスおよびプラスミドDNAの電気的導入法の開発を行い、歯胚組織および細胞に遺伝子を導入する分子機能解析法を確立した。これらの方法を応用することによって、上記のスクリーニングにより選択した候補遺伝子群の歯胚発生における分子機能を解析できると期待される。
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Research Products
(5 results)