2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02516
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小野 ひろ子 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ウズラ / 甲状腺刺激ホルモン(TSH) / 下垂体隆起葉(PT) / 2型脱ヨウ素酵素(DIO2) / 性腺発育 |
Research Abstract |
一年を通して変化する日長は多くの動物の性腺発育や繁殖に影響を与えるため家畜生産にとって重要である。申請者らはこれまでに、ウズラの脳内の下垂体隆起葉(PT)で長日特異的に発現、産生される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が視床下部に作用して2型脱ヨウ素酵素(DIO2)の発現を上昇させることで日長依存的な性腺発育機構が成り立っていること(Nakao,Ono et al.,2008 Nature)、さらにはマウスにおいてもウズラと同様な日長測定機構が存在すること(Ono et al.,2008 PNAS)を明らかにしているが、動物の日長測定機構の全貌の解明には至っていない。そこで本研究は、性腺発育の律速段階として働くことが判明したTSHのβサブユニットであるTSHBの発現機構を明らかにし、脊椎動物の日長測定のメカニズムを解明することとした。TSHBはウズラに長日の光刺激を与えると約14時間後に時刻依存的に発現する。TSHBが発現するPTには概日時計が存在することやヒストンをアセチル化する酵素の発現が日内変動することがこれまでの研究により明らかとなっており、こうした要素がTSHB発現を制御している可能性がある。さらにリン酸化は光刺激による遺伝子発現を促進することが知られているため、とくにヒストンのリン酸化レベルと日長の関係を調べることで、長日依存的なTSHB発現機構を明らかにしていく。昨年度までの研究により、TSHBの転写開始点およびそこから上流約5kbの配列を決定し、複数の時計タンパクの結合領域を発見している。よって今後はこれらの時計タンパクが産生される詳細な部位決定を免疫組織化学法により行う予定である。また、PTにおける日長とヒストンのアセチル化およびリン酸化の関連性を調べるべくウェスタンブロットを行い、それらの活性化が日内変動か示すか否か検討中である。
|
Research Products
(9 results)