2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会的に望ましい基準を満たす資源配分ルールの設計可能性の研究
Project/Area Number |
08J02536
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森本 脩平 Osaka University, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会選択理論 / メカニズムデザイン / インセンティブ / 戦略的虚偽表明の防止 / 効率性 |
Research Abstract |
今年度は、貨幣移転が可能な状況での非分割財の配分モデルにおいて、社会的に望ましい基準を満たし、かつ戦略的虚偽表明を防止する資源配分ルールの設計可能性について主に検討を行った。 本研究は、住宅や周波数帯の利用権などの配分におけるオークション制度の設計に応用することを目的としている。これまで個人の選好に所得効果が存在しないと仮定した場合の研究は盛んに行われており、特にHolmstrom(1979)によって、戦略的虚偽表明の防止、パレート効率性、および個人合理性(個人の自発的参加を促すための条件)の条件によるVickrey配分ルールの特徴付けが与えられている。しかしながら、これらの結果は個人の選好に所得効果が存在するような状況には適用できない。単一需要かつ財が1種類のみ存在する状況では、所得効果を考慮に入れた場合でも、上記と同様の結果が得られることがSakai(2007)およびSaitoh and Serizawa(2007)によって明らかにされているが、複数種類の非分割財が存在する状況での検討は行われておらず、結果の現実経済への応用は限定される。そこで本研究では、単一需要かつ複数種類の非分割財と選好に所得効果が存在する状況での配分ルールの設計可能性について検討し、これまでに2財のケースにおいて、競り上げ式配分ルール(競り上げ式オークションを用いて配分を行う配分ルール)が戦略的虚偽表明の防止、パレート効率性、個人合理性、および支払いの非負性の条件を満たす唯一の配分ルールであることを示した。 さらに、昨年度に得られた研究成果をEconometric Societyなどで報告すると共に論文の改訂を行い当該研究分野の国際学術雑誌に投稿した。
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Research Products
(1 results)