2008 Fiscal Year Annual Research Report
次世代のスーパーバクテリオシン、ラクティシンQ/Zに関する研究
Project/Area Number |
08J02631
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩谷 駿 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 乳酸菌 / Lactococcus lactis / 抗菌性ペプチド / バクテリオシン / 生合成機構 / 発現制御機構 |
Research Abstract |
乳酸菌が生産するバクテリオシンはヒトに安全な天然由来の抗菌ペプチドとして、食品分野を始めとした幅広い分野での応用が期待されている。代表者の研究対象であるラクティシンQ/Zは、乳酸菌Lactococcus lactisによって生産される新奇バクテリオシンであり、既知の乳酸菌バクテリオシンとは異なる優れた抗菌性および諸特性を有するため、乳酸菌バクテリオシンの応用面での可能性を拡げる有望なバクテリオシンであると期待される。代表者は、ラクティシンQ/Zの安全で安定的な供給を目指し、同バクテリオシンの発現制御機構および生合成機構について研究を行ってきた。先ず、ラクティシンQ生産株であるL.lactis QU5株の染色体上の遺伝子約16.5kbを解読し、ラクティシンQ構造遺伝子(lnqQ)を含む12個の推定orfの存在が明らかとなった。また、ラクティシンQのin vitro合成および異種発現株の構築により、テクティシンQが翻訳後直ちに活性型となり菌体内においても生育阻害を引き起こすという世界的にも報告例の少ないバクテリオシンであることが明らかとなった。一方、見出されたorfをlnqQと共発現させることで、各orfの機能の特定を試みたが、自己耐性および菌体外輸送といった機能に顕著な差は見られず、これら生合成機構を担うorfの特定には至っていない。また生産挙動の検討から、ラクティシンQの生産陛は、培地成分、PH、温度といった環境要因により影響を受けることが示唆された。このうち、lnqQの転写量測定の結果から、異なる培養温度下で見られた生産性の違いがlnqQの転写レベルで制御されていることが明らかとなった。また、QU5内で安定に複製するベクター(pNZ8048)に、L.lactisで構成的に機能するプロモーター(P32)を組み込んだベクター(pNZ32)を構築した。これにより、QU5を宿主とした発現系の利用が可能となり、今後の研究方針の幅が広がった。
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Research Products
(1 results)