2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物初期発生におけるCaMキナーゼカスケードの分子解析
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08J02653
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
二村 貴樹 Ehime University, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / CaMキナーゼ / CaMKホスファターゼ |
Research Abstract |
核局在型CaMキナーゼホスファターゼ(CaMKP-N)は多機能性CaMキナーゼ(CaMKs)群を特異的に不活性化する酵素で、生体内ではCaMKP-Nと同様に核に存在するCaMKIVを標的にしていると考えられている。ゼブラフィッシュ胚においてCaMKP-Nの遺伝子発現を抑制すると奇形の胚が出現し、この異常はCaMKP-Nの発現量の低下に伴うCaMKIV活性の上昇が原因として考えられた。そこで、本研究ではゼブラフィッシュにおけるCaMKIVの機能を明らかにすることを目的とした。ゼブラフィッシュCaMKIV(zCaMKIV)の一次構造は哺乳類のCaMKIVと比較してC末端領域が大きく欠損していることを見出した。そこで、このC末端領域欠損の影響を調べるため、ラットCaMKIV(rCaMKIV)とzCaMKIVの性質を比較した。その結果、両者で活性化機構と細胞内局在に大きな違いはみられなかったが、基質特異性に差がみられた。このことから、zCaMKIVは哺乳類のCaMKIVとは違ったタンパク質のリン酸化を制御していることが示唆された。本研究によりCaMKIVのC末端領域が基質特異性に影響を与えることを明らかにした。また、脳における内在性CaMKP-Nを解析した結果、その一部に核移行シグナル配列を含むC末端領域が分解を受けていることを見出した。この分解断片の細胞内局在を調べたところ、核ではなく細胞質に局在することが明らかとなった。このCaMKP-Nの分解断片は細胞質のCaMKIを脱リン酸化することが判明した。以上の結果から、生体内においてCaMKP-Nは細胞質に局在するCaMKを不活性化する役割も担う可能性が考えられた。このため、ゼブラフィッシュ胚におけるCaMKP-Nの発現抑制による異常はCaMKIV以外のCaMKsも関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)