2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナミビア半乾燥地域における「地生態系」と人間活動の関係に関する研究
Project/Area Number |
08J02678
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
手代木 功基 Kyoto University, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 半乾燥地域 / 環境変動 / 地生態系 / 放牧活動 / ナミビア |
Research Abstract |
環境変動の影響を受けやすいナミビアの半乾燥地域では、近年社会システムが大きく変容し、自然と人間の関係性も大きく変化している。本研究では、そのような状況の中で環境変動が地域にどのような影響を与えるのかを検討するため、地形や植生、土壌といった多層的な自然環境の要素を「地生態系」として総合的に捉え、「地生態系」と人間活動の関係を長期間のフィールドワークを通して明らかにすることを目的としている。本年度は、平成21年6月から9月の期間に、ナミビア中部の村に滞在して現地調査を実施した。今回の調査では、人々の活動の中で最も重要な生業であるヤギ放牧に着目し、放牧と植生との関係について調査を行って検討した。 調査では、現地滞在期間中に小型のGPSをヤギに取り付けることにより、放牧ルートの長期間にわたる定量データを取得することができた。アフリカ乾燥地域における先行研究では、このような定量データは短期間しか取得されていないため、このデータは大変貴重であるといえる。このGPSデータと採食物のデータ、および植生調査結果から、ヤギの放牧ルートに関して、乾季は採食可能かつ存在量の多い木本種の分布が重要であること、そして雨季は、存在量は少ないが採食時間か長いヤギの嗜好種とも言える木本種の分布が放牧場所決定の大きな要因となっていることが明らかとなった。植生分布は地形やその他の環境因子の影響を受けて分布が偏っているため、その環境要因の場所ごとの違いが、人々の重要な生業活動であるヤギ放牧と大きく関わっているといえる。したがって、その場所の地生態的な特性によって、放牧適地が規定されていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)