2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02681
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
無藤 望 Hitotsubashi University, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ゲーム理論 / 戦略的複雑度 / メカニズム・デザイン / 交渉理論 / コア |
Research Abstract |
「ゲーム理論における『戦略の複雑度』が現実の経済現象における人間行動にどのように影響しているかを明らかにする」という目的を達成するため、次の2つの研究を行った。 1.多人数の戦略的(非協力的)交渉モデルにおいて、多くの研究で均衡選択の必要性からad hocに仮定されてきた「戦略の定常性」は、「経済主体はより単純な戦略を好む」という自然な仮定から導出されるものであることを示したChatterjee and Sabourian(2000)の結果を拡張し、より一般的な交渉環境の下で同様の結論が得られることを示した。さらに、強い意味での定常性をみたす条件下での均衡利得集合が、提携形ゲームにおけるコアと一致するための十分条件を、交渉手続きの構造を指定する形で与えた。コアに含まれる交渉結果は効率的であるため、本研究の十分条件は交渉結果が非効率にならないための一つの条件を明らかにしたとも言える。 2.メカニズム・デザインの文脈で、パートナーシップを解消する際に効率的な配分を行えるための条件について幅研究した。1つの不可分財をn人(nは2以上)で共有しているとき、最も高く評価する者がその財を独占するのが最も効率的である。しかし、評価額が私的情報の場合は、虚偽の評価額を伝えることで非効率になることがありうる。本研究では、下記の環境の下で、事後的に効率的な配分を実現するメカニズムを提案した。 (1)各個人は財を等分で所有している。 (2)他者の評価額が低いほど、自身の評価額は高くなると仮定した。 (3)従来は配分が決定する前にしかメカニズムを脱退できないと仮定したのと対照的に、本研究では事後的な参加制約を仮定した。 さらに、上記の(1),(2)の条件がをい場合でも、Mezzetti(2007)による二段階メカニズムを応用することによ以って、効率的な半分が実現できることを示した。 以上の研究内容は、論文"Strategic Complexity and Efficiency in Sequential Interaction"にまとめられている。
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Research Products
(2 results)