2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本中世の地域社会における集団統合原理の研究-国人一揆を中心として-
Project/Area Number |
08J02713
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
呉座 勇一 The University of Tokyo, 史料編纂所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中世史 / 史料学 / 古文書学 / 日本 / 一揆 / 戦争 / 契約 / 起請文 |
Research Abstract |
本研究の主要な目的は、日本中世に広範に展開した様々な階層の一揆を検討対象に据えて、それらに共通する一揆の原理を解明することにある。日本中世は「一揆の時代」とも呼ばれるほど、一揆の盛んな時代である。特に中世後期においては、あらゆる階層、あらゆる地域において一揆が結ばれた。したがって、この時代の支配構造、政治動向、社会状況、人々の行動原理などを明らかにする上で、一揆の検討は避けては通れない。本研究では、一揆契状を主な素材として一揆の本質に迫っていく。 本年度は1年目に当たる。平成16年度〜平成18年度科学研究費補助金・基盤研究(B)16320085研究成果報告書『中世東国武家文書の成立と伝来に関する史料学的研究-陸奥白河結城家文書を中心に-』を再構成した村井章介編『中世東国武家文書の研究』(高志書院、2008年)が刊行された。この際、科研報告書所収の拙稿「『白河結城文書』の一揆契状」を加筆訂正の上、寄稿した。その論文は「白河結城文書の一揆契状」として前掲書に収哉された。論文の骨子は科研報告書所収時から変化していないが、本年度の研究成果を盛り込み、より精緻な議論とした。すなわち、先行研究が論拠としてきた「岩城氏累代之伝記」所収の応永十七年八月十八日足利義持感状写の内容を再検討し、後世に偽作された可能性が高いことを明らかにしたのである。今後は「岩城氏累代之伝記」の史料的性格そのものをも検討していきたい。 学会活動としては、中世史研究会2008年7月例会にて中世後期研究会編『室町・戦国期研究を読みなおす』(思文閣出版、2007年)の合評会が行われた折、評者の1人として報告を行った(他の報告者は高橋典幸・保立道久・細川武稔の各氏である)。私が担当したのは、『室町・戦国期研究を読みなおす』の諸論考のうち、「都鄙関係を読みなおす」のパートに収録された4論文であり、一揆研究の立場からコメントを加えた。
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Research Products
(3 results)