2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02718
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
林 正道 The Graduate University for Advanced Studies, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 機能的MRI / 異種感覚統合 / 知覚的意志決定 / 生理心理学 / 人間工学 |
Research Abstract |
我々ヒトは、ある事象により五感からさまざまな情報を受け、それらを統合してあらゆる判断を行っている。それらの情報は互いに時間的に同時に起こり、共通の特徴を持っている(例えば視覚・触覚における形)場合が多い。本研究では、これら知覚的類似性の認識の為に重要な神経基盤を明らかにするため、実験をおこなった。 (1)異種感覚刺激の時間的同時性認識に関わる神経基盤の解明 異なる感覚器に入力される情報が同一の現象から生まれていることを認識し、単一の知覚的表象を形成するには、これらの情報の時間的同時性の認識が重要である。被験者が機能的MRI(fMRI)内で聴覚-触覚に提示される刺激の同時性判断課題を遂行中の脳活動をとらえることにより、脳のどの領域が時間的同時性を認識する為に重要かを明らかにした。本研究成果は、海外学術誌へ論文投稿準備中である。なお、本研究は生理学研究所研究員の村瀬氏が中心となり、共同で行っているものである。 (2)異種感覚刺激の知覚的に類似した特徴判断の神経基盤の解明 異なる感覚器から入力される情報によって行われる特徴類似性の判断がどのような神経基盤によって支えられているのかを調べるため、fMRIを用いて実験を行った。実験では触覚と聴覚の振動刺激(train刺激)を用いて刺激周波数の遅延参照課題を行い、単一感覚器への刺激を比較する場合と異なる感覚器に入力される刺激を比較する場合の脳活動の異動を明らかにした。研究成果は次年度に学会発表、および学術雑誌に投稿予定である。本実験は、すべての過程において、研究代表者が中心に行っているものである。 これらの研究は、我々ヒトが環境認知、行動選択をする為に欠かせない知覚的判断のメカニズムを解明することに貢献し、脳卒中患者の症状の理解や、人間の特性を生かした工業デザインの発展に資すると考えられる。
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[Journal Article]2008
Author(s)
Asai T, et al.
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Journal Title
Human and Artificial Intelligence Systems(三恵社)
Pages: 71-76
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