2008 Fiscal Year Annual Research Report
実験生物学および情報生物学による哺乳類体内時計機構の解析
Project/Area Number |
08J02726
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 雪乃 Keio University, 大学院・政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 概日リズム / 哺乳類 / 遺伝子発現制御 / フィードバック制御 / 数理モデル / コンピュータシミュレーション |
Research Abstract |
哺乳類の概日時計を構成する遺伝子郡の相互発現制御ネットワークの包括的理解に向けて、ラットの視交叉上核由来の培養細胞RS182における、時計遺伝子Per1,Per2,Cry1,Cry2,Clock,Bmall,Rev-erbαの発現量を定量PCR法により測定した。ラットゲノムDNAを用いて検量線を描くことで、既知の発現位相に加え、発現量比を求めることができた。この定量的情報は、数理モデルを構築する際に、既知情報の過不足を判断するために重要な材料となる。ここで、光同調に関与すると考えられている2つの遺伝子Per1とPer2に着目した。これらは相同遺伝子であり、同じ転写制御モチーフE-boxにより発現が制御されていると考えられているにもかかわらず、その発現位相には約3時間の位相差がある。時計遺伝子Per1,Per2のプロモータ領域をホタルルシフェラーゼ遺伝子に接続したレポーター遺伝子を作製し、Rat-1細胞にトランスフェクションして細胞内における発現強度の時系列変化を測定した。その結果、Per1,Per2 mRNAの発現位相は、分解制御ではなく、発現制御の違いにより生じていることが明らかになった。数理モデルを用いたシミュレーション実験により、PERタンパク質のネガティブフィードバック制御によるPer1の位相前進、もしくはポジティブフィードバック制御によるPer2の位相後退の可能性が示唆された。実際、それぞれのプロモータの発現強度を測定した結果、Per2プロモータのみがPERタンパク質により強く誘導されたことから、Per2のポジティブフィードバック制御が位相差に寄与していることが示された。今後は、これらの位相差が時計機構に与える影響について解析を准める予定である。
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Research Products
(4 results)