2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02736
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
忰山 高大 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 共役系分子 / 配列 / ヘリセン / 水素結合 / 自己集合 |
Research Abstract |
本研究では、機能性分子を用いて共役系高分子からなる超階層構造体の構築を目指した。前年度は、共役系高分子の配列のための機能性分子として金属錯体を選択し、高分子との配位結合により、分子レベルで規則的に配列した共役系高分子からなるナノシートの作製に成功した。本年度は、新たにヘリセンーヘリセン間に働く相互作用を用いて共役系分子の配列を試みた。ここで、共役系らせん分子であるヘリセンは、π分子の分子骨格自体が不斉を有するユニークな構造をしており、光学的優れた性質を有す機能性材料である。さらに、光学活性なヘリセンは、ヘリセン同士の相互作用により一次元状集合体を形成することが示されている。しかしながら、合成の煩雑さから、アルキル鎖以外の置換基を用いたヘリセン配列の例は報告されていない。そこで本年度は、ヘリセンを有する機能性分子の配列に関して研究を行った。 まず、多点水素結合部位を有するヘリセン分子を設計し、不斉触媒を用いた合成により、光学活性なヘリセンを得た。そして、この分子を非極性溶媒に溶解させ、基板にキャストしたサンプルの電子顕微鏡観察からは、軸比の高いナノファイバーが形成されることを明らかとした。また、極性溶媒やラセミ体のサンプルを用いた参照実験の結果から、水素結合とヘリセン間の相互作用が協同的に働いた場合にのみ規則的な集合体を形成することを明らかとした。さらに興味深いことに、この分子は、溶液中で非常に大きな円偏光発光を示すことを明らかとした。このように、新規なπ共役系分子としてのヘリセン、超分子ビルディングブロックとしてのヘリセンの新規性・優位性を示す結果を得た。さらに様々な置換基を導入したヘリセンを設計することにより、高次な分子集合体の構築が可能になる期待される。
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