2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02737
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
初見 健太郎 Osaka University, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミクロ経済学 / ゲーム理論 / 公共経済学 / 社会選択理論 / 行動経済学 |
Research Abstract |
1.金銭移譲を伴わない分割不可能財の確率的配分問題についての研究を行った。(大阪大学社会経済研究所教授、芹澤成弘氏との共同研究。)我々は、人々が単峰性、および危険回避性を持つフォンノイマン・モルゲンシュテルン型効用関数を持つ際に、協調を通じた耐戦略性、強い平等性、片側効率性の三公理を満たすルールは一様確率ルールしか存在しないことを示した。また、片側効率性の公理を取り下げ、全員一致の尊重、連続性、最適点依存性などを代わりに課した際には、ルールの一意性は失われることも示した。この結果は、今年度、国際査読誌Social choice and Welfareへの掲載が受け入れられた。(実際の掲載は次年度の予定である。) 2.慈善的寄付行為に関する理論的研究を行った。私は、人々が準利他性を持つ際には大人数による慈善的寄付行為は協調ゲームとして表せることをまず述べた。次に、協調ゲームの理論的研究において1990年代以降発展してきたグローバルゲームの方法を慈善的寄付行為の研究に応用することを提案した。その結果として、種金(予め水面下での一部の慈善家から寄付の約束)による総寄付額の連続的増加という実証研究でよく知られている結果が、種金による必要寄付額の低下による効果のみで出現することを示した。既存の研究では、総寄付額の連続的増加は、種金がその慈善プロジェクトの質のシグナルとなる効果によると考えられてきたが、それと並列しうる別の理論づけを行ったと言える。現在、この研究は鋭意継続中である。
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