2009 Fiscal Year Annual Research Report
重層的世帯内におけるミクロ権力関係―バングラデシュ縫製工場女性労働者を事例に
Project/Area Number |
08J02750
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
長田 華子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC1
|
Keywords | バングラデシュ / 縫製産業 / グローバル金融危機 / ジェンダー / 低価格衣料 |
Research Abstract |
本年度は、2008年のグローバル金融危機以降の特にアジア経済をめぐる再編とそのもとでのバングラデシュ縫製産業の位置づけを現地調査に基づく現状分析により、明らかにした《研究成果1》。その中で、2008年以降の顕著な動きとしてある日系企業のバングラデシュ縫製産業部門への投資動向に着目し、日系縫製工場を対象とした企業、工場内、そして生産過程への労働力配置調査を実施し、ジェンダー視点からの分析を試みた。これらの分析視角は、「研究目的」として記した、グローバリゼーション下においてバングラデシュに新たに形成された女性賃金雇用に従事する縫製工場女性労働者の、「工場内」の女性の地位を明らかにするという点で、特に重要であったと考える。金融危機以降、これまで「世界の工場」としての位置づけであった中国から縫製部門のバングラデシュへの分散・移転の最新動向を現地調査により明示し、その上で2008年以降バングラデシュに開設された日系アパレル企業の日本向け低価格衣料生産を事例に全生産工程における労働力配置調査を行った。「工場内」の女性の地位を、企業、工場内組織における男女別労働力配置調査によって考察してきた先行研究の手法に加えて、生産工程に関わる労働力配置を、ジェンダー、年齢、学歴、縫製経験等の側面から明らかにすることで、各生産工程に見られる諸特徴を見出した。短期間の断続的なバングラデシュでの現地調査に加えて、同じ日系資本の中国(上海)縫製工場での調査をすることで、グローバル金融危機以降のアジアの再編を捉えること事が出来た点は重要な意義であると考える。
|