2010 Fiscal Year Annual Research Report
音楽音響信号の音源分離における統合的理論の構築とその応用
Project/Area Number |
08J02757
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
糸山 克寿 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 音源分離 / 音楽音響信号 / 調波・非調波統合モデル / 楽器名同定 / 類似楽曲検索 / ジャンルシフト |
Research Abstract |
本年度は,音源分離と楽器名同定の同時処理,および音源分離の応用としての類似楽曲検索システムに関する研究に取り組み,論文を発表した. 1.複数楽器混合モデルのパラメータ推定と楽器名同定への応用 複雑な音楽音響信号中の楽器音を認識し,信号からその構成要素である楽器音や歌声を分離することは,近年の音楽情報処理における重要な要素技術である.混合音の音楽音響信号および楽曲中の各単音の音高と発音区間を入力として,各単音の分離音響信号と楽器名同定結果を出力する問題に取り組んだ.2~3楽器音の混合音に対して楽器音を分離しそれぞれの楽器名を同定する実験を行ったところ,2音の混合に対する平均音源同定正解率は72.1%,3音に対しては54.8%であった.音源分離性能は2音,3音のそれぞれに対して平均対数スペクトル距離が3.12,3.65であった.さらに,楽器名同定の正解によって音源分離性能が向上することを確認した. 2.楽器音イコライザによる音色の類似度に基づく楽曲検索システム 類似楽曲検索とは,ユーザが指定した楽曲をクエリとして与え,楽曲を類似性に基づいてランキングする検索手法である.楽器音量バランスを操作したクエリ楽曲を用いて類似楽曲検索を行い,検索結果のジャンルからクエリ楽曲のジャンルシフトを調査した.楽器音量バランスとジャンルシフトとの間には合理的な関係があり,音楽ジャンルの典型的なイメージと整合していることが確認できた.ボーカルパートとドラムスパートでは,分離音と原音で同じ傾向のジャンルシフトが確認されたが,ギターパートでは異なっていた.
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Research Products
(3 results)